俺の恋女房になれ

会社帰りに私はアキラくんと駅前の居酒屋で飲んでいた。

もっぱら私が聞き役だ。

アキラくんの例のステキな丈が話題の中心なのだから

私はいつもよりトーンダウンだ。

「一緒に飲んでもいいかな？」

この声はやっぱりステキな丈だ。

どうしてこうなるのだろうか。

「どうぞ、いい男は大歓迎よ。」

アキラくんのハイになる気持ちがわからない。

相川さんは同僚も一人連れていた。

「彼はスコット。俺と同じブロックにいる。」

「スコットです。よろしく。」

「アキラです。彼女は琴ちゃん。美人でしょ。」

「冷たい美人だ。」

相川さんのその言葉にスコットが気を使って誤った。

「琴ちゃん、丈を許してやって。彼もう結構飲んでいるんだ。」

「いい男は何を言っても許されるのよ。」

アキラくんはかなりハイになっていた。

4人で飲み直して随分時間が経った。

たぶん終電もないだろう。

駅前のロータリーで同方向のアキラくんとスコットをタクシーに乗せた。

「スコット、彼を頼んだぞ。送り狼になるなよ。」

相川さんは酔いがさめたのだろうか。

「丈。マジ顔で言うな。じゃ、また明日。バイッ。」

私は相川さんと二人を見送った。

「さてと、俺たちも帰るか。琴乃、家はどこ？」

「私、歩いて帰れますから。」

「じゃ、送っていくよ。物騒だからな。俺は後悔したくない。」

「大袈裟ね。こっちです。」

そう言いながら私は先に歩き始めた。

10分ほど歩いて家の近くに着いた。

「なんだよ、会社のすぐそばじゃないか。」

「そうよ。送ってくれてありがとう。」

「参ったな。まさかこんな夜中に社に戻るとは思わなかった。」

「相川さん、家はどこですか？」

「新横だよ。」

「えっ？車で30分はかかるじゃないですか。」

「そうだな。駅に戻ってタクシーに乗って帰るから小一時間はかかるな。それより琴乃んちに泊めてくれたら有り難いが。」

「んもぅ、仕方ないわね。相川さん、特例ですから。ソファーで寝てくださいね。」

「寛大なんだな。」

私はシャワーを浴びてからベッドに入った。

相川さんはすでにソファーで寝入っていた。