真夏の青空、さかさまにして
「って私が言ってもかっこつかないし、確かに説得力もないなあ。言い訳って言われたって仕方ないか」
「なに、意味わかんないんだけど」
「そっかあ……わかんないかあ」
うんうんと頷くのに合わせて、メンがカックンカックンとおもちゃみたいに揺れている。
「じゃあ、わたしに剣道教えてよ」
「は?」
一体なにがじゃあ、なのか。絡脈のなさすぎる発言と満面の笑みに、ぷしゅう、と全身から力が抜けていく。
ふざけているのかと思ったけど、どうやらそうではないらしい。声色は真剣そのものだ。
「あっ教えるだけでいいから!もう無理に剣道しろとか言わないし、ちょっとアドバイスくれる程度でいいの」
「ねっ、いいでしょ」とメンの中で無邪気に笑う表情はやわらかなはずなのに、なんとなく圧力みたいなものを感じる。これくらい引き受けてよ、みたいな。
「……なにがどうなって、そういう話に結びつくわけ?」
「だってあずさが言ってるのは、わたしみたいなド下手くそが何を言っても言い訳の綺麗事にしか聞こえないって、そういうことだよね?」
「まあ……」
ほとんど勢いで口から出たもので、自分がなにを言いたかったのかなんて正直よくわからないけど、たぶんそういうことだったんだと思う。間違ってはいない、まったく。
「じゃあやっぱり、わたしに剣道教えてよあずさ!」
だからどうしてそこに繋がるのか。なにがじゃあなのか。