俺と恋しようよ
「明日は笑顔で送り出さないと……」



だから、いまだけ。
いまだけは泣かせて。

明日は笑顔で〝おめでとう〟って言うから。



「泣く時は俺の胸で泣けっていつも言ってるじゃん」



後ろからぐいっと引っ張られる。



「千太(せんた)」



彼は三崎千太(みさきせんた)
あたしと同い年で耕ちゃんの弟。



「花菜(はな)、兄貴?」



心配そうに眉をさげる。


花菜というのはあたしの名前。
堀川花菜(ほりかわはな)



「うん。告白した」


「告白!?」


「明日、結婚する前に気持ち伝えたくてさ」



〝うーん〟って伸びをする。



「そっか」



ポンポンっとあたしの頭に触れて、あたしを彼の方へ引き寄せる。



「……千太」


「泣きたいだけ泣けよ」



あたしの背中をトントンってする。

そのリズムが心地よくて、涙がポロポロと流れ落ちる。



「今日はたくさん泣け。明日メイクで隠せんだろ」



ふっと笑う。

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