ハツコイ。
「先生、お願いがあります」

「私に勉強を教えて下さい」


振り向いてもらえなくてもいい。

私が好きなのは、先生だから。


      *

最初はあんな風に、宣言したのに、その勇気はどこ行った……。


見事先生に、放課後勉強を教えてもらえることになったけど、先生のことが気になって、内容が全然頭に入ってこない。


「どうした」

ボーっとしていた私に、先生は声をかける。


「あっ…」

「…はぁ。やる気がないなら俺は帰る」

待って。


「やります」

「私、次の中間テスト、どうしても30位以内に入らないといけないんです。じゃないと…親に転校させられるんです。…だからっ」


「ここ、解いてみろ」

「えっ?」


「転校、したくないんだろ?30位以内、入れてやる」

先生……。

「ほら、ここ」

「はいっ♪」


      *

「先生っ!わっ、私、30位…は、入りましたっ!」

「よかったな」


朗らかに笑った先生を見て、私はつい泣いてしまった。

転校しなくて済んだ安心感、先生の笑みを見れた喜び、30位になった驚き………。


本当、何もかも先生に助けてもらっちゃったな……。



先生、ありがとう。
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