嵐の夜は 〜執着系上司に捕まりました〜
それは慣れ親しんだ低い声。
わたしの耳元で大きく息を吐く。
「課長・・・・・?」
コロンに混じって少し汗の匂いと速い息遣い。
「焦った・・・・・!お前にだけ連絡がつかなくて」
抱きしめる力が緩められると、身体をくるりと向かい合わせにされ、課長の大きな手で両頬を包まれた。
「悪かった。佐田がここまで根性悪いて思わへんかった、怖かったな」
ホロホロ落ちる涙を課長の親指に拭われる。握りしめていた手で課長の胸をドンッと叩いた。
「わっ・・・・・わたし何にも悪いことしてへんのに・・・・・!いっ意地悪ばっかりされて」
何度も叩く。
「課長のせいやのに!課長がーー!」
今度は正面から抱き締められた。
「そうやな、オレが悪い」
また雷が鳴り、思わず課長のワイシャツをキュッと掴むと大丈夫だと言い聞かせるように背中をさすられる。
グスグスと鼻を啜りながら課長の胸に縋りつく。
優しい温もりに包まれて、だんだん落ち着いていった。