嵐の夜は 〜執着系上司に捕まりました〜
繋がれた手を引っ張られエレベーターに乗せられた。確かに会社を出てから20分くらいだから課長の家は会社からかなり近い。
課長がエレベーターの13のボタンを押す。
手は放してもらえそうにない。
きっと電車も止まった可哀想な部下を保護してくれるだけ。そうだ、そうに違いない。
エレベーターが止まり、課長が廊下のいちばん奥の部屋の前まで歩いて鍵を開けて、わたしをドアの中に入れた。
漸く手が解かれる。
シューズクローゼットからスリッパが出され、わたしの前に並べられた。
「・・・・・・・・・・お邪魔・・・・・します」
おずおずと靴を脱いでスリッパに足先を入れる。
「はい。いただきます」
「!?」
なんか絶対に返答がおかしかった!
機嫌良さげな課長がわたしを見て口の端を上げる。
そのまま腰を抱かれ廊下の先のウォルナットのドアの先まで連れて行かれた。
そこは広いリビングで大きな窓の向こう、激しい雨で燻った景色は、沢山のオフィスビル。
郊外の下町の住宅街にある駅徒歩10分のわたしの部屋から見える景色とは全く違う。