嵐の夜は 〜執着系上司に捕まりました〜
「岩崎?」
「・・・・・何かの罰ゲームですか?」
「はあっ?」
「だって・・・・・だって課長、選り取りみどりなのに」
「だから何や?」
「・・・・・趣味悪い」
「失礼やな」
目の前の綺麗な男が極上のとろりとした笑みを浮かべる。
また揶揄ってる?
大体、交際期間0日で唐突に結婚とか。
ここは取り敢えず深呼吸だ。
すーはーと呼吸を繰り返す。
少し冷静になった。
タチの悪い冗談だ。
いくらわたしが騙されやすいといってもこれはない。
「岩崎?」
ほんの少し呼ばれる声に甘さが混じっていても。
ブンブンと頭を振る。
「や・・・・・やだ、課長。今回のは笑えないです」
「笑う?」
「だ・・・・・だってわたしなんかに課長みたいな人が本気で・・・・・」
課長の周りの空気の温度が一気に下がったような気配。
「笑わすつもりはないけど」
「で、でも交際期間もなくて結婚とか・・・・・!」
課長がわたしの膝裏に手を入れて持ち上げて自分の膝の上にわたしを乗せる。