嵐の夜は 〜執着系上司に捕まりました〜
「いらん。好きやないとか言わせへん」
横暴な言葉を吐く課長を酷いと思うのに、とうとう唇に落ちてきたキスに硬直が解ける。
キスがどこまでも優しい。
啄むように何度も何度も柔らかく、ほら、好きって言えって促すように。
ふわふわと身体が浮かび上がるような感覚が怖くて、頼りなく彷徨った手で課長の肩を掴んだ。
ずっと好きだった。
けれど完璧過ぎてわたしには手の届かない人だと思っていた。
自分に自信がないわたしは、佐田さんのようにあからさまに好意を表すことなんてできなかった。
仕事を教わり、気まぐれに触れられ、毎日会えるこの人は近いのに遠い人だった。
唇が離れていく。
わたしの瞳の奥を探るように、吐息まで触れ合いそうな距離で熱を孕んだ目に見つめられた。
「うっとりしてて大丈夫?オレ、余裕ないからな」
そう言った課長にゆっくりとソファーに押し倒される。
課長の視線が
指先が
舌が
素肌が
わたしに重なり、わたしを奪っていく。
情熱を、思い知らされる。
全身で、好きだと言われているような、そんな気がした。