嵐の夜は 〜執着系上司に捕まりました〜
「はあ、まあ行けと言われるなら」
「TOEICの成績を見る限り英語は問題ないやろ」
「大阪弁は世界共通語ですよ」
「その強気なら大丈夫やな」
堀田さんが豪快に笑う。
心の中にフッと浮かぶ顔。
2年か・・・・・。
「あとな、もう一つお願いや。事務に気の利いたコが欲しい。岩崎を動かしても構わへんか?」
「岩崎ですか」
ちょうど考えていたヤツの名前が出てきて驚くけれど、表面には出さずに冷静なフリをした。
「そうだ、可愛いし、仕事も丁寧だし、素直だし使い易い」
ニコニコと堀田さんが言う。
「みすみすバツ一の堀田さんの毒牙に可愛い部下をかけたくはないですね」
一応牽制しておく。
このオッサンは仕事はできるけれどソッチ方面ではあまり信用できない。
「佐田なら喜んであげますよ」
「佐田はいらん、好みと違うしプライドも高くて使いにくい。まあ、岩崎の件も含めて考えといてくれ」
一応の返事をして、会議室を後にした。
あの鈍感娘をのんびりじっくり堕としていくつもりだったけれどそんな悠長な時間は無さそうだ。