嵐の夜は 〜執着系上司に捕まりました〜
「か、課長!生き急いでます!ちょっと落ち着いて考えて行動しましょう!」
課長の膝の上でバタバタと暴れてみる。
「落ち着くのんはお前や。オレは充分冷静や。のんびり付き合ってる時間が惜しいだけや」
時間が惜しい・・・・・・・・・?
「病気なんですか・・・・・?」
「アホ、なんでそうなる。転勤や」
「え・・・・・?転勤って」
「アメリカに最低2年」
アメリカ・・・・・?
最低2年・・・・・?
課長がフッと口元を緩めてわたしの顔をじっと見る。
「課長・・・・・?」
「ーーーーー誰にもやりたくない」
真剣な瞳に少したじろいだ。
「2年もほっといて他の男に取られたりしたら許せへん」
いや、取られませんて。
そんなええもんと違いますよ?
真っ直ぐだけど、かなり強引。
それでもあの嵐の中、わたしを心配して探しに来てくれた。
望めばどんな美人とだって付き合って、結婚だってできるのに。
どこにでもいるような、平凡なわたしがいいという変わり者。