嵐の夜は 〜執着系上司に捕まりました〜
「おはよ」と同期の気軽さで声をかけると胡乱な目で見られる。
おかしい。
しかも小林が私を見て眉間に微かに皺を入れ、ふいっと席を立って行ってしまった。
オイ、コラ。
なんだ、その態度は。
不審に思いながらも自分も仕事の準備を始めていると、肩をチョンチョンと叩かれる。振り向くとそこにはニコニコしている八代くんがいた。
「おはよ・・・・・?」
「おはようございます、岩崎さん、ちょっといいですか?」
「うん・・・・・?」
八代くんに廊下のいちばん先にある非常階段まで連れて行かれる。
「体調、大丈夫ですか?」
「ああ、うん。迷惑かけてごめんね。大したことなかったし」
「なら良かった」
「・・・・・?それだけの話だったら別にこんなところに来なくても・・・・・」
「んー・・・・・その様子やと金曜日の話は知らないですよね?」
「金曜日?なんかあった?」
「大アリっす」
八代くんが口角を上げた。
その八代くんが話す内容はわたしを驚愕させるに充分だった。