嵐の夜は 〜執着系上司に捕まりました〜
いない方が色々と都合が良い。
身体を許すくらいだからそれなりに好意を持ってもらっているのは知っている。
畳み掛けるように同居を承諾させ、いづれは結婚もうんと言わせる。
まず外堀から埋めてやる。
出勤するとすぐに課員全員をミーティングルームに集めた。何か懸案事項あったかとみんな不審顔だ。
佐田も他の女子社員たちも昨日岩崎を放ったらかして帰ったことなど何とも思っていないようだ。
「おはようさん、昨日はみんな無事に帰れたようやな」
そう言って全員を見回す。
「あれ、岩崎が来てない」
「そういえばいっつもいちばん早く来るのにな」
「有休か?佐田さん、何か聞いてる?」
他のヤツらに聞かれて佐田の表情が一瞬強張るけれど直ぐに普通の顔を装った。
「何にも聞いてません。欠勤は早目に連絡するよういつも言ってあるんですけど」
ふっ・・・・・立派だな。
「岩崎は今日体調を崩して欠勤だ」
「課長に直接連絡があったんですか?」
佐田が問い掛けてくる。
お前も性格が悪いんだろうが、残念ながらオレはその上をいくんだよ。