嵐の夜は 〜執着系上司に捕まりました〜
「いや、昨日からずっと一緒だったからな」
ええーっとか嘘ーっとか声が上がった。
「佐田、お前昨日内勤のヤツ全員に早く帰宅しろって伝えたか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
無言は雄弁だ。
「オレが念のためオフィスに戻ったら薄暗いオフィスで岩崎が一人で雷に怯えながら蹲ってた」
佐田の顔から少しずつ血の気が失せていく。
「説明しろ、佐田」
「・・・・・・・・・・申し訳ありませんでした、伝え忘れました」
「伝え忘れたんやなくて伝えなかったんやろ。日本語は正しく使え」
外回りのヤツらも流石にそれは酷いと思ったのかやり過ぎやろとか口々に責めた。
みんなの前で小学生のようなイジメの手口をバラされてプライドの高い佐田には屈辱だろう。
「最近、外回りのヤツらにバレへんように岩崎に辛くあたってるなとは気付いてたけどな、他の女子も誰も助けてやらんとかガッカリや」
決して声を荒げている訳では無い。
普段と変わらないテンションだ。