嵐の夜は 〜執着系上司に捕まりました〜
面倒見が良くて男性の部下からの人気もあり、仕事に於いても勿論優秀。
切れ長の瞳、すっと通った鼻筋。
イマドキの塩顔は女子のハートを撃ち抜く何よりの武器。
憧れない女子がいる筈がないのだ。
恐らく今日だって隣の席を手に入れようと女子社員は手ぐすね引いて待っている。
「岩崎ィーーっ、木田さんがビールジョッキ倒したーーっ!お絞りもろてきてー」
もう酔っ払っているのかと軽く溜息をつきながらも腰を上げた。
「オレ行きましょうか?」
八代くんが気を遣って声を掛けてくれる。
「ええよ、食べられるときに食べとき。後でまたしこたま飲まされるのにすきっ腹は辛いやろ」
軽く断って襖を開けて廊下に出る。
丁度通りかかった店員さんにお絞りと新しいビールも注文しておいた。
休憩がてら座敷の上框に腰掛ける。
明日は土曜日でお休みだから二次会もあるかなあ・・・・・長くなりそう。
ふと下を向いているわたしの視界に焦茶の磨きこまれた革靴の足先が入ってきた。