嵐の夜は 〜執着系上司に捕まりました〜
ひぃっ、リアル壁ドン?
「・・・・・課長、会社ですよ?」
一応、忠告してみる。
「見られても婚約者同士が微笑ましいなで終わりや」
微笑ましい!?
「課長・・・・・」
顎を片手で固定されて、唇を重ねられた。なんで勝手に婚約したとか吹聴したんですか、と責めようとするのに全ての言葉が声になる前に飲み込まれていく。
くちゅり、と課長の舌がわたしの口の中で好き放題に動き回る。
教えてもらったばかりの慣れない大人のキスはわたしの思考力を奪っていく。
だんだん立っているのも辛くなって思わず課長のスーツの襟を掴んだら、ようやく許してもらえた。
離れていく濡れた唇。
腰を支えられて耳元で「お仕置き」と囁かれる。
何の!?
「会社とはいえ、人目を避けてこんなとこで男と2人っきりとか禁止」
「は?でも八代くんはそんな・・・・・」
「菜花」
「はい・・・・・」
つい返事をしてしまう。
満足そうな笑顔を見せ、背中をつぅっと指でなぞられて腰から手を離された。