私に優しい理由
壊してしまった。



ずっと大切にしていたのに。



涙が溢れてきました。悲しかったからでしょうか。

悔しかったからでしょうか。

いいえ。私は壊れてしまったあなたに怒っているのです。


時間をかけ、たくさんの愛を込めて育ててきたあなたが、なんの前触れもなく一瞬にして儚く壊れてしまうことに。
涙が出てきてしまうほど、腹を立ててしまったのです。


壊してしまったのは私なのに。


それは勝手でしょうか。

これは可笑しいでしょうか。


仮に、この話が腹がよじれるほどおかしな話だとしましょう。

しかしあなたは笑わないでしょう。

いえ、笑えないのです。


もしかしたら私を軽蔑し、冷ややかな目で見るかもしれません。

私は異常だと捉えられるかもしれません。

それでも私は構いません。


なにせ、同情の気持ちなどは嫌というほど貰ってきましたから。
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