ミルクと砂糖は多めで
「いやぁ~助かりました!女性なのにお強いんですね!」
「はぁ・・・・・」

なぜか事情聴取のために、高校生やおじさんと交番にまで来て、どういった経緯でこうなったのか問われる。酔いも回ってきてるし、半ばヤケクソになって答えた。

「就活で祈られメールが来すぎて、やさぐれてお酒飲んでたら、目の前でおじさんがカツアゲされてたので助けました、終わり。」
「そ、それは・・・・・頑張ってくださいね。」

うるさい、頑張ってこの結果なんだよ!大暴れしたい気持ちを飲み込んで、乾いた笑いで誤魔化した。隣で荷物を抱えてしょんぼりしているおじさんをちらりと見る。髪は乱れてダサい眼鏡をかけており、何より猫背なのが弱そうに見える。きちんと背筋を伸ばせば、かなりの高身長だろうに。

「あの、お名前は?」
「葉山・・・孝宏です。」

葉山さんね、葉山さん。歳は34・・・ってことは、おじさんと呼ぶには若いかな。いや、でも見た目老けてるしなぁ。

「お姉さんのお名前は?」
「櫻井です。櫻井、優。」

桜じゃなくて櫻ですよ、と言いながら壁にかかった時計を見るともう23時近かった。もう母に帰宅時間でとやかく言われる歳でもないが、心配性な兄達がそわそわしだす時間だ。

「・・・・・はい、話はここまでで大丈夫です。お付き合いいただきありがとうございました。」

交番から出た私達と入れ違いに、児童相談所の職員らしき人達が高校生を引き取っていた。どうやらこれが初めてではないらしく、親も引き取りを拒否していたのを警官の電話から盗み聞きして推理したのだ。
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