こっち向いて笑って、先輩!


「でも、こうやって先輩と会えたのはすごく嬉しいので、そういう嫌なこと全部まぁいっかって、思えます!」


「……なんで」


「えっ?」


先輩は動かしていた筆を止めて話しだす。
視線は合わせてくれないけれど。


「なんでそんなすぐ笑えるの。なんで俺なの」


っ?!


私のことをめんどくさがって話しかけるななんて言ってた先輩が、まさか、自分からどうして好きなのか聞いてくるなんて。


もう私とは話したくないかもって、そんな気持ちにだってなったから。


「……先輩、覚えていないと思うんですけど。初めて告白した入学式の日、実は、あの日よりも前に私先輩のこと知っていて」


「……」


本人にこんな話するなんて、先輩に会えた衝撃でポワポワとしていた心の中は、緊張でバクバクとうるさい。


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