こっち向いて笑って、先輩!
「まさか、先輩の方から連絡くれるとはね〜。もしかしたら、あるのかもしれないよ!先輩、桃のこと好きになるかも!」
「……うん」
「どうしたよ」
みっちゃんがそういって私の顔を覗き込む。
嬉しかった。泣いたことを責めたり引かないでくれて、そばにいてくれたこと。
作業を手伝ってくれたこと、連絡先をくれたこと。
でも……。
先輩への想いを伝えたときの、あの空気が忘れられない。
迷惑だって前みたいにあからさまに態度で表すんじゃなくて、本当に困ってるみたいに、気持ちに答えられないことにすごく申し訳なさそうに、黙ってそっぽを向いた先輩。
今、先輩の中に、誰か忘れられない人がいるのだろうか、直感的にそう思った。