こっち向いて笑って、先輩!





「では、本日はこれで解散。明日のリハーサルと本番、よろしくお願いします」


大好きな彼の声がそう教室に響きわたると、みんなガタガタと席を立ち始めて教室を出て行く。


「あ、あの、真壁くん……ありが」


隣で席立った真壁くんの名前を呼ぶ。


本来、真壁くんも実行委員なんだから、来てくれたことにお礼を言うなんてやっぱ変かななんて考えていると、


「1年5組 真壁 隼(まかべ じゅん)」



如月先輩の声が私の声を遮った。


「なん、すか」


2個上の先輩にフルネームを呼ばれるなんて、いくら真壁くんでも戸惑っちゃうよね。


でも、如月先輩ったらどうして真壁くんのことなんて……。はっ!もしかして、ここで、今まで真壁くんがちゃんと仕事をしてなかったことを怒るんじゃ!


「君が来れない間、来原1人で頑張ってたから。明日と本番のサポートくらいは頼んだぞ」


「……っ、」


真壁くんは少しうつむいたまま黙っている。


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