こっち向いて笑って、先輩!
「じゃ、俺はこれで。明日はよろしく」
如月先輩はそれだけ言うと、空き教室を後にした。
「あっ、あの、真壁くん……」
「俺がサボってるって言わなかったのか」
真壁くんの目がしっかり私を捉えて離さない。
なんだ、なんだ。
真壁くんが怒ってるのか、何を考えているのかわからない。とにかく、嫌われないように機嫌を損ねることを言わないようにしなきゃ。
「だって真壁くん、用事って言ってたから」
「サボるって言ってサボるやつなんているかよ」
「うっ、そりゃ……」
「……意味わかんねぇ」
真壁くんはボソッとそう言うと、早足で教室を出ていった。
え?意味わかんねぇ?何が?
私の方が被害者だと思うのに……真壁くんが不機嫌になる理由って?
やっぱりわかんないよ、真壁くん。