こっち向いて笑って、先輩!
「あっ、私そろそろ行かなくちゃ!」
校舎前にそびえ立つ時計に目を向けて、みんなにそう。
「おー!いってらっしゃーい」
実行委員の集まりが開会式の30分前にあるので、私は、みんなにバイバイしてから、急いで指定されたテントに向かう。
何だかんだ忙しいよなぁ、実行委員。
集まりに着くと、もうだいたい集合していて、如月先輩が顧問の先生と話していた。
あぁ、なんてこと。こんなに間近で如月先輩の体操着姿が見られるなんて。しかも白のハチマキがよくお似合いで!
めんどくさくて嫌だなと思ってた委員会だけど、何だかんだ、このおかげで先輩とお近づきになれたのだから、ちょっと寂しい気もするかも。
もう、先輩に会う理由、なくなっちゃうもんな。
「─────ということで、昨日のリハーサル通り、男子は学級旗を持ってクラスの先頭を行進してください。女子は、リレーで使うクラスのビブスの回収」
あぁ、こんなにしゃべる先輩が見られるのも、もうないかもしれない。しっかり目に焼き付けておかねば!
「では、みんな一丸となって、体育祭成功させましょう」
「「「はい!」」」
みんなの元気のいい返事がして、体育祭が始まった。