こっち向いて笑って、先輩!
*
ダンスが終わった瞬間、急いで三年生のテントへ向かう。
3年1組のテント、3年1組のテント。
体操着のズボンの色が学年別で違うから、青色の体操着の中に赤色の私がいるのは、すこぶる目立つ。
でも、今はそんなことどうでもいいくらい、先輩に会いたくてたまらないんだ!
今は2年生の借り物競走が始まったばかり。
如月先輩たち3年生の種目は午後からだし、時間は大丈夫だ。
「あ、桃ちゃん!」
私の名前をちゃん付けで明るく呼ぶのは、1人しかいない。茶髪の前髪を噴水結びにしている、青色のズボンを着ている先輩。
「すごいねー桃ちゃん。学級旗のデザイン桃ちゃんがしたんだね?うちのなんか3-1ってドーンっと描いてるだけでダサ────」
「野村先輩!あの!如月先輩は?!」
「ほんっと、和那のことしかみてねーのなぁ」