こっち向いて笑って、先輩!
当たり前じゃないか。
私の眼中には先輩しかいないよ。
「和那なら来客用の椅子が足りないとかで体育館に取りに行ったよ。忙しーよねー実行委員」
た、体育館?!
「ありがとうございますっ!」
早口で野村先輩にお礼を言ってから、走って体育館へと向かう。
体育館へ着くと、入口の方では、お手洗いの順番を待ってる生徒や来場者がいた。
靴を脱いで、中へと入ると、入口とは違ってガラリとした広い体育館。
そして、舞台の下に人が1人、ガチャガチャと音を響かせながらパイプ椅子を取り出していた。
背中だけで、こんなにキュンって胸が締め付けられるなんて、どんだけ罪な男なんだ如月先輩。
「先輩っ!如月先輩!」
大好きな彼の名前を呼んで、体育館の真ん中をダッシュで走って舞台側に駆け寄る。