こっち向いて笑って、先輩!
「おぉー!快!」
「あ、先輩こんちわっす」
3年棟の階段を上ると突然、飯田よりも背の高い男の人たち数人に囲まれてしまった。
「なになに彼女?」
「違いますよ。日直の仕事で」
飯田の部活の先輩かな…?
「へ〜。こんにちは〜」
「ひっ!あ、こ、こんにちはっ!」
声の低さとか、体格の大きさとか、やっぱり3年生ってすごいな。
とにかく迫力がすごい。
慣れないこの状況に思わず声がうわずってしまった。
「反応かわいい〜」
「名前、なんて言うの?」
「えっ、あっ、…」
一歩近づいてきた先輩たちに体がビクッと反応する。
「く、来原…桃です」
「えー!桃ちゃん?可愛いね」
「え、いや…そんなこと────」
近いぞっ!
こんなの初めてですこぶる緊張する!
可愛いって言われたらどう反応すればいいの?
言われたことないからわかんないよ!
「こいつ、お昼まだなんで、いいっすか?」
あぁ、よかった。
飯田のその声で、先輩たちの距離が少し離れてくれた。