こっち向いて笑って、先輩!


「なーにぶりっ子してんだよっ」


「アイテッ!」


人気(ひとけ)がなくなった階段を再び歩こうとしたら、飯田のデコが私の頭を突いた。


この石頭が!


「だってあんなの慣れてないんだもん。緊張するよ」


「ふーん」


飯田は適当な返事をしてからズンズンと階段を上って行く。


なんなのよ。


っていうか…ここ、3年棟ってことは…。


如月先輩に会えるチャンス?


いや、会えたとしても今は喋れないわけで…あぁ!でもでもでも!教室の席に座る先輩を遠くからみられたらいいな…。


「キモい顔すんなー」


「うっ、」


振り返った飯田に指摘されて、緩んでいた口元を慌てて直す。


女子にキモいとか…。
シンプルに傷つくし。



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