こっち向いて笑って、先輩!


さっきあの怖い先輩に掴まれた時と全然違うなぁ。
あったかい。




─────ガチャ


「えっと、如月先輩……」


「手」


「え?」


連れてこられたのは、生徒会室の奥にある資料室。


閉められたドアに背中を預ける私の目の前には、こちらを見下ろす大好きな先輩の姿。


先輩に言われ、自分の手に目を向ける。


「あっ、、」


細かく小さく震える私の手。


何これ。


「ほんと。お前は肝心なこと言わないな」


「うっ、だって、私よりも真壁くんの方が怖かったはずだよ……」


多分、あの真壁くんの様子だと、私に悪いことしたって思っちゃってるはずだし、私の前だからあからさまに怖いって顔できなかったと思うし。



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