こっち向いて笑って、先輩!


私なんかが怖いなんて思うとか、違う気がしたんだ。だけど、さっきの状況を思い出すと途端に怖くなる。如月先輩が現れてくれなかったら、私は……。


「うっ、」


あの人に触られてすごく怖いと思った。
でも─────。


「はぁ……ほんと、お前はめんどうなことに巻き込まれる体質してんな」


────────ギュッ

っ?!


へ?!
へ?!
へ?!


えーーーーー!!!!!


「ききききき如月先輩?!あのっ!なんで!」


先輩の腕の中に収まったまま、私は声を裏返しながらそういう。


なんという状況なんだ!!


なんで今、私は如月先輩に抱きしめられているんだ!


抱きしめられた体も、もちろん顔も、全部が熱を持って熱い。


「……震え、収まったら言って」


先輩は、それだけ言って少しだけ抱きしめる力を強めてから、私の頭をポンと優しく手のひらで包み込んだ。


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