こっち向いて笑って、先輩!



「……先輩、もう、大丈夫ですっ」


先輩の温もりにもう少しだけ浸っていたかったけど、ずっとこうしてるのも、如月先輩に迷惑だもんね。


まさか、好きな人に、大好きな人に、抱きしめられる日が来るなんて。


私が体を離そうとすると、先輩の温かかかった手がゆっくりと解かれる。


「本当に、助けてくれてありがとうございました。さっき、怖かったけど、でも先輩が来てくれたからもう全然へっちゃらです!」


「はぁ……」


えっ?!なんでため息?!
私なんか変なこと言ったかな?!


「お前、もう少し自分のこと考えろよ。人のことばっかり」


「えっ、そんなこと!私は自分のことばっかり考えてるから先輩しか見えていなくて!」



「そーいうことじゃなくて……」



困ったように後頭部をかく如月先輩。


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