こっち向いて笑って、先輩!
「それより……」
え、それより?!私の中で、大きな一歩を踏み出して出てきた友達申請よりも大事なこと?
目線を斜め下に向けたままだった如月先輩の目がゆっくりとこちらに合う。
「何で、あんなところにいた」
「あんな、ところ?」
「学食。しかも、あの真壁なんかと」
「あっ!真壁くん!すごくいい子なんです。私も初めは近寄りがたいな、怖いなって思ってたんですけど。お詫びだって言って体育祭のときに当てた懸賞の学食無料券もらっちゃって。だから今日は学食に!」
真壁くんのことを、まだ私一人に仕事を押し付けて遊びに行っていた悪い人だって思ってる先輩の誤解を解かなくちゃと思って、笑ってそう話す。
「……物でつられる簡単な女って思われるよ」
っ?!
あの普段温厚な如月先輩が、少しイラついたようにそういったのでびっくりしてしまう。
でも、こんなこと思わしちゃうのは少なからず真壁くんに何も言えなかった私にも多少問題があるわけで。