こっち向いて笑って、先輩!
「それで、桃にはその2人がどう見えたの?」
「先輩とその女の人と、えっと、仮でAさんって呼ぶね」
「うん」
私の正面に座り、マカロンのクッションを抱きながら話す私をじっと見つめて頷いてくれるみっちゃん。
心強いよ、彼女がいるおかげで、私は今、この試練を耐えることができている。
「如月先輩とAさん、付き合っているんだと思うんだ。実はずっと遠距離で。でも、如月先輩は遠距離で会えないのが辛くて。だからその気持ちをどうにかしたくて私をAさんの代わりに見て、抱きしめたり、話しかけてくれたり、寂しさを都合のいい私で埋めてたんじゃないかって。そして今日、遠くにいた愛しのAさんが帰ってきたんだよ。そしたら、先輩の今までの優しさとか謎な行動と納得できるっていうか」
「あらすごい妄想。まぁ、それだけ聞けば辻褄合うように聞こえるけどね〜」
「うっ、」
正直な意見しか言わないみっちゃんにまっすぐそう言われると、やっぱり私の仮説は合ってるんじゃないかって、自分で考えていながら怖くなってまた涙が溢れる。
あの如月先輩に、彼女がいないって噂がそもそもおかしいんだ。