こっち向いて笑って、先輩!


「直接聞いてごらんよ、先輩に。連絡先だってもら───」


「ダメだよ!絶対できない!聞いて、そうだって言われたらそれこそ立ち直れなくなりそうだし、それに、彼女でもなんでもない私が馴れ馴れしく先輩に連絡するなんて。私が彼女だったら他の女の子と極力連絡なんてしないで欲しいし、先輩の好きな人の傷つくのなんて─────」


「はっはーーん。余裕だね、桃」


「え?」


余裕?何が?こんなに追い詰められているなんて人生初だよ。どん底だよ。初めて好きになった大大大好きな人へのこの気持ちを、終わらさなきゃいけないかもしれないって状況だよ。ううんかもじゃない。終わらせなきゃだよ。


「本当に好きだったら周りとか関係なく奪ってやるって気持ちなんじゃないの?ライバルに遠慮するとか、余裕なのか、それとも先輩への気持ちはそんな軽いもんだったのかってしか思わないよ」


「……っ、がう。全然ちがう!みっちゃんのバカ!」


話を散々聞いてもらっといて、バカなんて、なんてサイテーなんだと思うけど止められない。



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