こっち向いて笑って、先輩!
「飯田前に言ってたよね、叶わない片想いは虚しいだけだって。その人の笑った顔さえ見られればそれでいいって。私は……今、頑張るって思いながらも、そう自分にいい聞かせて納得しようとしたり、やっぱり苦しいってなったりでぐちゃぐちゃなんだ」
「可能性……」
「え?」
「俺、如月先輩と来原は可能性ないって思ってねーよ。俺の場合は全くゼロだけど、でもそれは俺の話であって。来原は先輩からちゃんと聞かされてないんだから諦めなくてもそんな風に悩まなくてもいいと思う」
「飯田……」
なんでこんなに、時々いいやつなんだ。いや、いつもいいやつだと言っておこう。
誰だよ、こんないい人に好きだって思われてるのに気付かないやつ!
「まぁ、彼女いたら今までの来原の努力全部無駄だし、奪える可能性は格段に低くなるからその時は大爆笑してやるけど」
っ?!
前言撤回!!
「飯田のおたんこなす!」
「わかったらぼーっとしてねーで早くカレーの準備するぞ!」
飯田はそう言って、目的地まで歩幅をさっきより広げて歩い出した。