こっち向いて笑って、先輩!
ちゃんと心の準備して、先輩に話しかけよう。
こんにちはでもこんばんはでもなんでも。
諦めない!頑張るって決めたんだ!
「あっ、ちょ、来原さんそれ!」
「あっっちっっ!」
先輩のことで頭がいっぱいでボケっとしていたせいで、熱々になった飯ごうの持ち手を掴んでしまって慌てて手を引っ込める。
「大丈夫か、来原っ!」
「桃ちゃんどうした!」
班のみんなが私のところに駆け寄ってくる。
「すみません、ぼーっとしてたらあれ素手でつかもうとしちゃって……」
本当、バカである。
私は人に迷惑をかけることしかできないのか。
「ほら、水道で冷やしてくるよ。葉、先生たちに氷もらってこれないか話してきて」
川越先輩の俊敏な行動に思わず見惚れてしまいそうになる。こんな時に慌てずにすぐに対応してくれるなんて、さすが2つ年上の先輩。頼もしい。