こっち向いて笑って、先輩!





「早速だけど、体育館横の倉庫にある学級旗を隣の空き教室に運んでくれない?今日の仕事はそれだけだから。よろしくね」


帰りのSHRが終わったあと職員室に呼び出された体育祭実行委員の私と真壁くんに担任の先生がそう言った。


学級旗…。
そんなもの作るんだ…。


真壁くんは「はーい」と伸びた返事をするとさっさと職員室から出て行ってしまい、慌てて彼を追いかける。


真壁くんが実行委員とか大丈夫なのかな?
真壁くんって、よく学校休むし授業中寝てること結構あるし、そんな彼が実行委員なんてちょっと心配だ。


「あー!来原ほんとごめんっ!」


職員室を出て少し廊下を歩いた時、真壁くんが何か思い出したように大きな声でそう言って顔の前でパチンと手を合わせた。


ん?何事?


「俺、今日おばあちゃんのお見舞い行かなきゃだわ。入院しちゃってて…」


「えっ、」


「旗くらい、一人で持てるよな。そんなでかいものじゃねーと思うし」


「…え、あの」


ペラペラと話出す真壁くんの足は、私の返事を聞く気なんてさらさら無いといいだけな様子で教室へと向かっていた。


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