こっち向いて笑って、先輩!
「あ、これこれ。和那ピースしてるけど、流星に弁当のミートボール取られてちょっとふてくされてんだよ」
「あ、ほんとだ〜!眉毛がちょっと寄ってる!ん〜!でも中学の如月先輩も超絶イケメンです!」
指差された写真を見て、そう声を出す。
今より体も少し痩せていて、幼い如月先輩。
多分、私は如月先輩と同じ学年でも絶対好きになって猛アタックしていただろう。
「あ!この時の流星、担任にイタズラしようとしてさ────」
ページがめくられるたびに、私の知らない如月先輩の過去を覗いたような感覚に、くすぐったくて少しだけ寂しい感情が胸をいっぱいにしていく。
「卒アル以外の写真も持ってきたよ!ほら茜も!」
茜さんのお友達らしき綺麗な人たちがそう言って数枚ある写真をひらひらさせる。
この中に……茜さんと如月先輩の写真とか、あるのかな、なんて。
なんとなく、ワイワイと盛り上がる輪からすーっと後ろへ下がっていく。
まだ怖いなんて思っちゃうのは、茜さんが思ってた以上に可愛らしい人で、改めて自分に何もないのを気付かされてしまったから。
気付けば、如月先輩は、今日の主人公だと言わんばかりに輪の中心にいて。