こっち向いて笑って、先輩!
昨日、あんなに先輩が近かったのに、好きだと言われて、付き合えることになれて、夢でも見てるんじゃないかと思うくらい人生で一番幸せな瞬間を味わえたのに。
こんなことで、もう弱音を吐きそうになってしまうだから。
「桃ちゃん」
っ?!
可愛らしい声に名前を呼ばれて顔を上げると、ボブの毛先をふわっと巻いた茜さんがこちらを見ていた。
「は、はい」
あまりの緊張に声が上ずってしまう。
茜さんの声が小さかったので、盛り上がってる他のみんなは私と茜さんのこの状況に気付いていないみたいだ。
「ちょっと、話せる?」
茜さんにそう言われて、私たちは、生徒会室の端にある引き戸から中庭に出て、2人で並んで、校舎の壁にもたれる。