こっち向いて笑って、先輩!
「私は言ったんだよ〜?元カノがのこのこ今の彼女さんに顔見せに来るってどうなのって。でも、和那が、桃ちゃんの心配ごとになることはどんなに小さなことでも取り除きたいからって」
茜さんは、ふわふわの髪を耳にかけ直してから、そう話す。その横顔がやっぱり綺麗で、女の私でも見とれてしまうほど。
「そう、だったんですか」
「すごく変わった。彼。前はそんなこと言う人じゃなかったからさ〜」
チラッと窓から生徒会室に集まるみんなの中心にいる如月先輩を見る茜さん。
やっぱり私のこと、あんまりよく思ってないよな。
茜さんは、和那先輩のことが嫌いになって別れたわけじゃないと思うから。
また、やり直したいとか────。
「ヤな人って思われても、私は会いたいなって思ったから。桃ちゃんに」
「え、わ、私ですか?」
てっきり、『和那に』なんて言い出すと思ってたからびっくりする。