こっち向いて笑って、先輩!


「うん。和那にあんな顔させる子、どんな子なんだろうって。気になってた。私が日本に一時帰国するって決まった時、和那には会うつもりなんて全然なかったんだ。でも、グループで仲よかったからさ。なんとなくみんなで集まる流れになっちゃって。そしたら、和那の方から、野村くん通して連絡が来て。会ってちゃんと話したいことがあるって」


「そうだったんですか……」


如月先輩から、呼んだんだ。
そりゃそうだよね。大好きな初恋の人で、言い残したことがたくさんあって。多少未練があってもしょうがない。私はこんなことで傷つく資格なんてない。


「あの頃の和那の気持ちと私の気持ち、ちゃんと話せて。お互いにちゃんと、ありがとうとごめんなさいが言えて。スッキリした」


「はい、それは如月先輩も言っていました。あの頃はカッコつけてなかなか本当の思いを伝えきれなかったって。茜さんを、助けてあげられなかったって」


茜さんはきっとすごくいい人。
なのに、こんな風にいちいちモヤモヤしてヤキモチを焼いている自分が嫌になる。


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