こっち向いて笑って、先輩!
(side : kai)


「やっぱりここにいた〜」


空がオレンジ色に染まっていく景色を、1人眺めていると、後ろから聞き覚えのある声がした。


小学校卒業まで入っていたサッカークラブで使っていた、グラウンド。


今はクラブも閉鎖されて、外で遊ぶ子供達もあまりいないから、雑草が生え放題。


「付き合うことになったよ。桃ちゃんと和那」


そう言って俺の隣に座った2個年上先輩を「なんで流れるように隣に座ってんだ」って意味を込めて軽く睨む。


「知ってます。さっき部活中に2人が生徒玄関にいるの見ました」


それを見て、やっぱりすこしダメージが大きくてこんなところで1人しょげている、なんて。
多分、この先輩には全部気付かれている。
勘だけはいいから。勘だけは。


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