こっち向いて笑って、先輩!


そろそろ私も帰ろう。


そう思って、しっかりと先輩を目に焼き付けてから人気のなくなった教室で椅子を引いて立ち上がった時だった。


「来原」


低くて通るその声が、また私の名前を呼んだ。


「はひっ!」


ビックリして変な声が出てしまった。
恥ずかしい。


でも、名前を覚えていてくれたことにまた嬉しくなる。



「もう1人の人は?」


如月先輩はそう言って、私の座っていた席の隣の席を見つめる。


「ぁ、えっと…」


っ!!


まさか、今日の集まりもサボった真壁くんのことを指摘されるなんて。


口ごもっていると、先輩がスタスタとこちらへ向かって歩いてきた。


ヤバイヤバイヤバイヤバイっ!


かっこいいよぉ〜!!


途端にうるさくなる胸を抑える。


今朝、飯田に面食いじゃないと言い放ったけど、でもやっぱりお顔がこんなに整ってるんじゃ、ドキドキしちゃうのも無理はない。


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