こっち向いて笑って、先輩!
「おい、流星。お前勝手にいなくなって余計な仕事増や──────」
嘘。
ワーワーしてる2人を笑いながら見ていたら、大好きな声がした。
バチっとしっかり。
目が合った。
「き、如月先輩?」
まさか、まさか、まさか。
私服姿の如月先輩が見られるなんて。
黒のスキニーに紺のサマージャケットという実に実にシンプルな格好なのに。
着る人が如月先輩だとこんなにもカッコよくなってしまうんだ。
「あ、和那!見て!また桃ちゃんに会っちゃった!俺たち運命かも!」
私のこの胸の高鳴りなんてお構い無しに、野村先輩は相変わらずキャッキャとそんなことを言う。
「き、如月先輩!あの、会えて嬉しいです!先輩も買い物ですか!」
野村先輩を軽くどけて、大好きな彼の前に立って話しかける。
こんなこと、もう2度とないかもしれない。
外で、学校の外で如月先輩に会うなんて。