こっち向いて笑って、先輩!


「おい、流星。お前勝手にいなくなって余計な仕事増や──────」


嘘。


ワーワーしてる2人を笑いながら見ていたら、大好きな声がした。


バチっとしっかり。


目が合った。



「き、如月先輩?」


まさか、まさか、まさか。


私服姿の如月先輩が見られるなんて。
黒のスキニーに紺のサマージャケットという実に実にシンプルな格好なのに。


着る人が如月先輩だとこんなにもカッコよくなってしまうんだ。


「あ、和那!見て!また桃ちゃんに会っちゃった!俺たち運命かも!」


私のこの胸の高鳴りなんてお構い無しに、野村先輩は相変わらずキャッキャとそんなことを言う。


「き、如月先輩!あの、会えて嬉しいです!先輩も買い物ですか!」


野村先輩を軽くどけて、大好きな彼の前に立って話しかける。


こんなこと、もう2度とないかもしれない。
外で、学校の外で如月先輩に会うなんて。



< 47 / 270 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop