こっち向いて笑って、先輩!
「猛烈にその気持ちだから、今」
「今……?」
もしかして、飯田って……。
「す、好きな人いんの?!」
「うるさ!声でか!静かにしろよ!」
思わずうわずった声を出してしまって、飯田が焦って注意する。
そりゃびっくりするさ。
だって、この飯田に好きな人がいるとは。
「告白は?!」
「お前今の話聞いてた?無理なんだよ。俺のこと好きじゃねーし。つーかもういいんだよ。その人には……ずっと笑顔でいてほしいってただそれだけ思ってるだけだから」
こんなに優しいそうな顔をする飯田を初めて見た。
どこの誰かわからないし、飯田が私にその相手が誰なのかいうつもりないなら無理やり聞くようなこともしないけど。
でも。
「そんな風に、飯田に思われてるなんてそれこそ幸せ者だよ。その人」
「多分、一生かかっても気付かねんじゃーの」
飯田はボソッとそういうと、窓の外を見つめながら再びコーラを飲んだ。