こっち向いて笑って、先輩!
「俺が探しにいかなかったら、来原は今頃まだあの倉庫で1人だったんですよ。女子1人にガラクタの片付けさせるとか、先生にもちょっとは原因があったと思います」
き、如月先輩?
座ったまま固まってる先生を真剣な表情で見つめる先輩は、少し怒ってるように見える。
「如月先輩、もう大丈夫ですから。行きましょう!」
ピリピリした空気をどうにかしたくて慌ててそういう。
「まだ話は終わって──────」
先輩の腕を捕まえて、早足で職員室の出入り口に向かう。
「失礼しましたっ!」
「……」
*
「来原、俺まだ話途中だったんだけど」
如月先輩が私の名前を呼んだことに若干ドキッとしつつも、俯く。
「ご、ごめんなさい。でも、やっぱり私がドジだったのがいけなかったと思うから。先輩があんな風に言ってくれて嬉しかったです」
先輩に迷惑をかけちゃったのはかわらないけど、私だけの原因じゃないと言ってもらえて少しホッとして、改めて、優しい人だって思った。