こっち向いて笑って、先輩!
みっちゃんは何やらニヤッとしながら私のスカートを覆ったカーディガンを見つめる。
「それ、桃のじゃないよね」
「うっ、」
先輩からこのカーディガンを差し出された瞬間が脳裏で再生されて、顔が熱くなる。
「変なとこ引っ掛けちゃってスカート破けちゃって。それで……先輩が」
「なるほどね〜。桃の話を聞いてる限り全然脈ないんじゃなんて思ってたけど、そんなことないんじゃない?」
みっちゃん、すごく嬉しいこと言ってくれるけど。
先輩はさっき私にちゃんと言ったんだ。
「勘違いしないで」って。
「先輩のなかでは生徒の1人を仕方なく助けたレベルだよきっと」
根が優しい人だから、こう言うこと他人にもサラッとできちゃうと思う。
あの日、初めて会った日、図書館で知らない私を助けたうえに笑顔までくれた先輩。
彼ならできちゃうんだ。
「よし、いいこと考えた!桃!今日の埋め合わせして」
「えっ?!」
「うちに泊まりな!」
みっちゃんはそう言って私の腕を掴んだ。