コソ恋 ~マセテイルと言われても構わない
4 恋人なの
雛さんと別れてからの事だ。
みのる台駅前のアールヌーボーで彩られた喫茶『パリジェンヌ』の前であった。
「あははは」
「ほほほほ」
スーツを着た神谷先生が、水色のスーツを着たボブのキレイな女性と喫茶店に入って行った。
何やら話している。
楽しそうだな。
何て佇まいのいい美しい人なのだろう。
そう思いながら、私は、神谷先生の二つ後ろの席に隠れていた。
スパイである。
恋人なのですね。
キレイな恋人なの……。
「あー。私、振られちゃった……」
何かを叫びたかった。
「あー。でも、神谷先生と顔も似ていたし、お姉さんでした! とかの落ち、どこかに落ちていないかな?」
しまった。
植木越しに、まじまじと見過ぎた。
恋人らしき乙女に見られちゃった……!
「お客様、ご注文はお決まりですか?」
「……。ちょっとお待ちよ」
今度は、神谷先生の前に行った。
「何やってんの? お子様は、帰りなさい」
「もう、十二歳です」
「おー。未成年者は、禁止です」
「分かりました……。だから、別れてください!」
ガタッ。
神谷先生が席から立った。
「人の話を聞きなさい」
怖く睨まれたので、私は、すごすごと帰った。
「あんなに、拒絶しなくても……」
みのる台駅前のアールヌーボーで彩られた喫茶『パリジェンヌ』の前であった。
「あははは」
「ほほほほ」
スーツを着た神谷先生が、水色のスーツを着たボブのキレイな女性と喫茶店に入って行った。
何やら話している。
楽しそうだな。
何て佇まいのいい美しい人なのだろう。
そう思いながら、私は、神谷先生の二つ後ろの席に隠れていた。
スパイである。
恋人なのですね。
キレイな恋人なの……。
「あー。私、振られちゃった……」
何かを叫びたかった。
「あー。でも、神谷先生と顔も似ていたし、お姉さんでした! とかの落ち、どこかに落ちていないかな?」
しまった。
植木越しに、まじまじと見過ぎた。
恋人らしき乙女に見られちゃった……!
「お客様、ご注文はお決まりですか?」
「……。ちょっとお待ちよ」
今度は、神谷先生の前に行った。
「何やってんの? お子様は、帰りなさい」
「もう、十二歳です」
「おー。未成年者は、禁止です」
「分かりました……。だから、別れてください!」
ガタッ。
神谷先生が席から立った。
「人の話を聞きなさい」
怖く睨まれたので、私は、すごすごと帰った。
「あんなに、拒絶しなくても……」