【超短編 21】彼女の髪が長いわけ
彼女の髪が長いわけ
小原晋が駅から出てくると一人の女に声をかけられた。
「アンケートにご協力お願いします」
これといった予定もなかったので彼はそれに協力することにした。女が髪の長い好みのタイプだったというのも理由の一つだった。お礼を言いながら黒いボードの上に何枚も積み重ねられたアンケート用紙を左手に持ち替え、ボールペンを胸ポケットから取り出した女は慣れた調子で小原にいくつかの質問を始めた。
アンケートは最近の自動販売機に対するものでどれくらいの頻度で使うかとか、どういったものを買うかといったものからそこに取り付けられている広告の認知度やコンビニとの比較まで様々な内容があった。
小原は一つ一つ丁寧に聞いてくるものにはい、いいえで答えながら、ずっと女の体ばかりを見ていた。日陰に移動したとはいえ、夏の日差しが照りつけるアスファルトの熱気に彼女の肌から大粒の汗が至る所から流れていた。喉元からティシャツに滑り落ちていく女の汗に官能的なものを感じ、小原は女を頭の中で犯して始めていた。
女がボールペンを持つ手で髪をかきあげると首筋に大きな切り傷があるのを見つけ小原はおもわず、あっと声を出てしまった。それに気づいた女は今までの笑顔が曇り悲しげな表情を浮かべた。小原はどうにかそれを取り繕うとしたが、うまく言葉にできなかった。すぐにもとの笑顔に戻った女は何事もなかったかのように質問を続けた。
「アンケートにご協力お願いします」
これといった予定もなかったので彼はそれに協力することにした。女が髪の長い好みのタイプだったというのも理由の一つだった。お礼を言いながら黒いボードの上に何枚も積み重ねられたアンケート用紙を左手に持ち替え、ボールペンを胸ポケットから取り出した女は慣れた調子で小原にいくつかの質問を始めた。
アンケートは最近の自動販売機に対するものでどれくらいの頻度で使うかとか、どういったものを買うかといったものからそこに取り付けられている広告の認知度やコンビニとの比較まで様々な内容があった。
小原は一つ一つ丁寧に聞いてくるものにはい、いいえで答えながら、ずっと女の体ばかりを見ていた。日陰に移動したとはいえ、夏の日差しが照りつけるアスファルトの熱気に彼女の肌から大粒の汗が至る所から流れていた。喉元からティシャツに滑り落ちていく女の汗に官能的なものを感じ、小原は女を頭の中で犯して始めていた。
女がボールペンを持つ手で髪をかきあげると首筋に大きな切り傷があるのを見つけ小原はおもわず、あっと声を出てしまった。それに気づいた女は今までの笑顔が曇り悲しげな表情を浮かべた。小原はどうにかそれを取り繕うとしたが、うまく言葉にできなかった。すぐにもとの笑顔に戻った女は何事もなかったかのように質問を続けた。