私と結婚してください。
━━1分経過。
ここまで私、無得点。
次は決めてやる!!なんていいつつ、無得点。
なんならまだボールにさわってもいない。
「お前の次はいつんなったらくるんだよ」
なんて、凰成がとんでもない顔をしている。
でも、でもね
本番はここからだから!!
「これは楽勝だな~」
そんなのんきな発言をする伊織くんに、私はマークする。
点差は…たしかにちょっと開いたけど…
でも、女だからってなめてもらっちゃ困る。
「伊織様!」
ほら、きた。
ゴール手前までは頼くんが運び、シュートは必ず伊織くん。
これも、主人に気持ちよくプレイしてもらうための配慮なのか、もしくは頼くんがとんでもなく外すのかのどちらかだけど…
まぁ、恐らく前者でしょう。
私はこの機会を待っていたのよ。
「━━っ、!」
「もーらい」
伊織くんに投げられたボールは、すかさず私が奪い取る。
だって、ね
伊織くんと同じくらいの身長の私にもすごく取りやすい位置にくるから。
「…っ、凰成!」
ボールを取った瞬間、その瞬間を逃すまいと凰成はもう走っていて
絶対に頼くんには取られまいと、背の高い頼くんには取られないように低姿勢でボールをゴールの下まで運ぶ。
あとは、バウンドパスで凰成に渡すだけ。
私に付きっきりだった頼くん。
だから当然、凰成側には背の低い伊織くんしかいないわけで
「…やりゃできんじゃん」
凰成は楽々とゴールを決めた。