私と結婚してください。



「ナツキ、こんなやつに言っても意味ないよ。
もう行こうよ。」


「……こんなやつに期待しても無駄か」


「そうそう、行こ!外周でもしてこよ」


そんな会話が聞こえて、踊り場に倒れる私の目の前を3人の女の子たちが通りすぎてって

しばらく、私はそのまま動けなかった。




━━なんてことはなく、5分もすれば痛みも引いて私は体を起こした。



「いてて……」


なんか、たまにドラマとかで階段落ちて死んじゃう人いるけど
……私はそういうの、無縁そう。

けっこう派手に落ちたけど、あちこちちょっと痛むだけで、完全な軽傷。


体、丈夫なのかな。


「…希依?なんでそんなとこ座ってんだよ」


「あ、凰成」


声のする方を向けば、凰成と先生、それに竜司くんたちも階段を上がってきていた。


「……ちょっと、転んじゃって」


「はぁ?バカかよ」


凰成はそういって、私の目の前にしゃがんで、なぜか手を差し出した。


「……なに?」


「は?手貸すから立てよって、わかるだろ」


「あ、あぁ…そういうやつか
初めてされるわ」


「どんだけ男に無縁な生き方してきたんだよ」


……いや、まだ学生の男は大抵そんなことはできねぇ。
少なくとも、速水はできねぇ。



「…あれ?ってか怒ってないの?」


「は?なんでだよ」


「私がパス受け取らなかったから」


「はぁ?んなことで怒るわけねぇだろ。
つーか、そういうのをなくすために練習してんだろ」


あ、そっかぁ…
なんだぁ。普通なところをまた見つけられたよ。

まともなところもあるんだよな、こいつにも。


「ほら、さっさと立てよ」


「あ、うん
ありがと」




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