私と結婚してください。
「じゃ、飯にするか」
「あ、これも買ってきてくれたんでしょ?
ふふ、ありがと」
「…希依が食事の用意するのは大変だと思っただけ」
「とかいいつつ、しっかり庶民のものだけどね」
そういって私はまた玲子さんから受け取った1つの袋から、テイクアウトされた牛丼をふたつ取りだし、凰成の隣に座った。
「ふふ、牛丼を買ってる凰成見たかったな~」
「注文は竜司がしてたわ。嬉しそうにな。」
・・・竜司くんか、さすがだ。
あの人、本当に庶民のものが好きだなぁ…
「……食べよっか。
でも冷めたし、レンジないの?」
「…レンジ?」
「うん、電子レンジ。」
「・・・・・。」
「・・・・え?」
「なに、それ」
…………はい?え、待って。
この人電子レンジも知らないの!?
「……ほら、冷めたご飯を温めるときとかにチンする…」
「飯が冷めたら作り直すだろ」
・・・ダメだ、話にならない。
こいつはそういう次元で生きてるんだ。
「……よし、普通科の食堂に行こう」
「はぁ?遠いだろ」
「あっちなら電子レンジあるし!
だいたいあんたも去年までは向こうの寮にいたなら見たことあるでしょ?」
「あそこの食堂はあんま好きじゃねぇから一回きり。
それ以降はずっとあいつらと外で食ってたわ」
……もう、こいつどんな環境で生きてきたんだよ…
「とにかく行こ!」
「わざわざ行くくらいならここの食堂でつくってもらえばいいだろ」
「だめ!
せっかく凰成が買ってくれたんだもん。
無駄にしたくないよ。」
私がそういうと、凰成は一瞬固まり、小さくため息をついた立ち上がってくれた。
「ったく、しかたねぇな」
ため息に加えてそんなこともいうけど
……顔はとっても幸せそうに笑ってたから、とことん素直じゃないやつだなと思わされたけど
そんな顔を見れた私も幸せ者だ。